こんにちは。発達障害児の子育て専門カウンセラーHERAI(ヘライ)です。
前回のブログで、就学相談会について説明しました。(【発達障害の疑問】4.5歳児の親御さん必見!就学相談会の実態)
読者の方から、より詳細な情報を求める声をいただきましたので、前回の内容を細かく分けて数回にわたり説明いたします。
就学先ってどうやって決めたらいいの?
発達障害があるお子さんの子育てで、最も悩ましいのが「就学先」とも言えるでしょう。
どの環境だったらうちの子はやっていけるのか、将来の見通しは立つのか、どんな問題が待ち構えているのか、いろいろな心配が頭の中をぐるぐると駆け巡っているのではないでしょうか。
しっかり情報収集したうえで、就学先を決めましょう
就学先を決めるうえで、情報収集は欠かせません。
普通級・通級・支援級・支援学校それぞれ長所・短所があります。地域によって、指導方法が大きく違うということもあります。
実際に見学に行き、先生のお話を聞いたり雰囲気を感じてくることが重要です。お子さんも一緒に行くと、不安を感じる場所などがわかるのではないでしょうか。
お子さんについての情報もしっかり把握しましょう。
具体的には、できることとできないこと、どんな支援や対処を必要とするのかを理解しておくことです。
これがはっきりしないまま、配慮をしてくださいとだけお願いしても、学校側も困ります。
ご家族の状況についてもはっきりさせておかなければなりません。
場合によっては、引っ越しや転職も構わないのか、もしくは仕事の時間の調整をしてもらうことは可能なのかなど確認しておく必要があります。
これらの情報と、親御さん・お子さん本人の希望とのすり合わせで就学先を決めていくことになります。
普通級・通級指導教室・支援級・支援校それぞれの場合
普通級に決めたAちゃんの場合
Aちゃんは、ADHDの診断を受けており、幼稚園ではじっと席に座っていることが難しく、常にサポートの先生が横についている生活をしていました。
園の先生からは、支援級がいいのではと言われていました。
しかし、Aちゃんは知的障害はなく、発達検査の結果もIQ110と平均よりも上の結果でした。
ご両親は、この結果を踏まえ、支援級ではAちゃんの能力を伸ばしきれないのではと考え、普通級への就学を決断しました。就学相談は受けませんでした。
その代わりに、就学先の学校との面談を入学前に数回していました。
その面談で、加配の先生をつけることが難しく、もしもの場合はご両親のどちらかにサポートとして学校に来てもらうことになるかもしれないという話が出ました。
お母さんは正社員からパート勤務に変わることにしました。お父さんは部署移動を申し入れたそうです。
通級指導に決めたB君の場合
B君は自閉スペクトラム症の診断を受けていました。
B君も知的障害はありませんでした。好きなことに没頭してしまい、ご飯を食べなかったり寝るのが遅かったりして、園を休んだり遅刻したりすることが多い子でした。
ご両親は、普通級か支援級かでとても迷われていました。
B君の住んでいる学区の小学校には、情緒支援級が設置されていないため、近隣の支援級のある学校へ見学に行きました。
その時に、癇癪を起してしまったお子さんがいて、その対応をする先生も同じように大きな声でなんとか癇癪を止めようとしていたそうです。
ご両親はその様子を見て、とてもここにはわが子を任せられないと考えたそうです。B君もその様子を見て、学校は怖いと思ってしまったようです。
ご両親は引っ越しは視野に入れていなかったし、自営業をされていたので仕事を減らすということもなかなか難しい状況でした。
B君はおとなしく目立つタイプではないため、普通級でも大丈夫では、通級は認められないよと周りの方々から言われていたようです。
ご両親は目立たないからこそ、困っているのに気が付かないことを心配されていました。
コミュニケーションの困難さや手先の不器用さもあり、療育が必要だとお考えで、就学相談でもそこを強く主張されました。
ご両親の懸命な主張もあり、B君は通級指導を受けられることになりました。
情緒支援級に決めたC君の場合
C君は診断名はついておらず、IQが79、いわゆるグレーゾーンの子でした。
お母さんは最初は普通級を希望されていました。
C君のご家庭はひとり親でしたので、お母さんが学校へ送り迎えなどが難しく通級や支援級には通えないとおっしゃっていました。
しかし、保育園でも他害や自害の傾向があり、先生の指示も理解できていない様子がたびたび見られ、先生からの強いアドバイスで就学相談会への参加を決めました。
就学相談の結果、支援級相当という判断が出ました。
C君の住んでいる地域では、就学相談の結果が出ると希望を変更することが難しい仕組みになっていました。(拒否をするとその後の支援が受けられなくなる)
お母さんは就学先決定後、地域の福祉課に相談し、登下校のサポートを受けられることになりました。
支援級は保育園のクラスよりも人数が少なく、比較的おとなしい子が多かったため、C君も他害や自害をすることなく、落ち着いて学校生活を送ることができました。
交流クラスに行く時間も増え、学習のほうで支援が必要な場面も多いようですが、このまま順調であれば進級のタイミングで普通級への転籍も可能になりそうとのことです。
支援校に決めたDちゃんの場合
Dちゃんのご両親は初めから支援校一択でした。
Dちゃんは知的障害を伴う自閉スペクトラム症で、会話が困難でした。身辺自立もできておらず、着替え、排泄、食事等すべてにおいて支援が必要でした。
支援校ではより専門的な先生方が、個別で支援計画を作ってくださり、Dちゃんの能力に合った指導をしてくれているそうです。
支援校のカリキュラムは、学習や生活技能の向上を目指すだけでなく、社会性やコミュニケーション能力の育成にも重点が置かれています。
また校内も安全性などに配慮が行き届いており、Dちゃんが過ごしやすい環境になっているそうです。
最終的に決めるのは【親】です
様々な例をご紹介しましたが、参考になったでしょうか。
就学先を決めるにあたり、お子さんの意思ももちろん無視できないことです。
しかし、6歳の子どもに決定権を与えるのはあまりにも荷が重すぎます。
見学に行ったときに、支援級の教室におもちゃが置いてあるのを見て「ここがいい」というかもしれません。
しかし、それは6年先、またはそれ以上先を見越した判断でしょうか?
子どもの気持ちもくみ取りつつ、将来を見据えた判断ができるのはやはり親であるあなたなのです。
周りの人はアドバイスと言って、色々口を出してくることでしょう。
その周りの人たちはあなたのお子さんの将来に何の責任も持ってくれないということを肝に銘じておきましょう。
にこやかに、「アドバイスありがとうございます。判断材料の一つとさせてもらいます」とでも言って、スルーしましょう。
あなたのお子さんの未来に責任を持てるのは、やはり親であるあなただけなのです。
かと言って、一度決めた決断を途中で覆すことができないわけではありません。
普通級がよいと信じて入れたものの、問題が多く支援級へ移籍、C君のように支援級でうまくいき普通級へ移籍、ということもあります。
学校によっては移籍は認められないという所もあるかもしれません。
しかし、お子さんの将来を考えたら、学校の言いなりだけになる必要は全くありません。
学校は教育のプロかもしれませんが、親であるあなたは「わが子のプロ」です。誰よりもわが子を理解し、愛しているのはあなたなのです。
「わが子のプロ」である自覚と自信を持ち、学校側と対等な立場で、かつ円滑に協力体制を築いていくことが求められます。
また、何が正解かは誰にもわかりません。
大切なのは、「与えられた環境でベストを尽くす」ではないでしょうか。
お子さんの内なる力が発揮され、生き生きとした学校生活が送れるよう、あなた自身も内なる力を発揮させてください。
お子さんの将来が心配すぎて、冷静にお子さんの現状を把握することができずにいる方、言いたいことが言い出せず、学校や教育委員会との話し合いが億劫でしょうがない方、そんな方はカウンセリングを受けてみるのも一つの方法です。
カウンセリングでは物事を客観的にとらえることができるようになる方法や、相手と対等な立場で話ができるようになる方法などをお伝えしています。
気になる方は、お試しカウンセリングへお申し込みください。