【発達障害の疑問】「計画的無視」が辛く感じるのはなぜ?―発達障害の子への関わりで揺れる親の心

おしえてー
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こんにちは ゆる楽メンタルカウンセラーのへらいえつこです。

子育ての本や支援の中でよく出てくる「計画的無視」

頭ではわかっているのに、実際にやろうとするとどうしても心がついていかない…そんな経験はありませんか?

発達障害のある子への対応として、「計画的無視」が有効だと言われることがあります。

親の声かけや注意を“ごほうび”と感じてしまう子に対して、意図的に反応しないことで、行動を落ち着かせていくという方法です。

理論としては理解できるし、「やった方がいい」と思っている。

でも、いざやろうとすると、ものすごくしんどい。

そんなふうに感じている方も、多いのではないでしょうか。

「無視するなんてできない」

「放っておくなんて、愛情がないみたいでつらい」

「声をかけたいのに我慢するって、心が削られる」

そう思ってしまうのは、あなたが優しいからです。

けれど、それだけではありません。

たとえば、自分が子どもの頃に、親に無視された経験があるとします。

話しかけても反応がなかった。

困っていても見て見ぬふりをされた。

あのとき感じた、「自分なんていないみたい」「私は大事にされていない」という思い。

そのつらさを、今でも体のどこかが覚えていて、「無視」という行動に強く反応してしまうのです。

「私はあのとき、苦しかった」

「だから、自分の子には同じ思いをさせたくない」

これは、とても自然な感情です。

一方で、もう少し違った形の“しんどさ”を感じている方もいます。

「一度無視したら、戻ってこれなくなる気がする」

「私、この子のことを、もう愛せなくなるかもしれない」

これは、「無視をする」こと自体が怖いのではなく、「無視を始めたその先が怖い」という感覚です。

愛情が薄れていくのではないか。

自分の中で何かが壊れてしまうのではないか。

本当はつながっていたいのに、その糸を自分の手で切ってしまいそうで怖い。

“つながり”が失われることへの恐れ

それが、「計画的無視がつらい」理由の正体なのです。

ここで大切なのは、「無視できないあなた」が間違っているわけではない、ということです。

それだけ心の中に、“つながり”を大切にしてきた証なのです。

ひとつの考え方として、「無視」ではなく「待つ」ととらえる方法があります。

感情的になったとき、子どもが落ち着くまでそっと見守る。

過剰な声かけを控えることで、子ども自身のペースを尊重する。

それは、見捨てることでも、無関心でもありません。

“必要なときには、ちゃんとそばにいる”という信頼の形でもあるのです。

もし、過去の記憶が心に浮かんできたとしたら、それは「思い出してはいけないこと」ではありません。

あのときの自分が、何を感じていたか。どんな気持ちだったか。ただ、思い出すだけでいいのです。

「ああ、ああいうことがあったよね」

「あのときは、さみしかったなって思ったんだよね」

それだけで、十分です。

「つらかった」「頑張ってた」など、言葉にできるなら、それはあなたが自分の気持ちをちゃんと見つめられているということ。

言葉にできなくても、それでも大丈夫。ただ、感じたことをそのまま認めることが何より大切です。

自分自身の存在を、まるごと受けとめることが、すでに“関係を育てる力”になっているのです。

「無視ができない私」は、ダメな親じゃありません。

むしろ、つながりを大切にする“強さ”を持っている人です。

親が自分の心に目を向けることは、子どもへの愛情を深める第一歩。

あなた自身のメンタルを整えることは、子どもとの関係にも、必ず力になります。

もし今、心が揺れて苦しいと感じているなら、まずは、自分自身の気持ちに寄り添う時間を持ってみませんか?

お試しカウンセリングでは、あなたの今の思いを丁寧にお聴きします。

ひとりで抱えず、あなたの心の声を聴かせてくださいね。

大人も子どももすべての人が自分を好きと思え、笑顔で子育てができるよう応援しています。

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