【発達障害の疑問】発達障害の診断が子どもの社会参加を促進する理由とは?

おしえてー
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こんにちは、発達障害児の子育て専門カウンセラーのHERAI(ヘライ)です。

このブログでは発達障害の素朴な疑問にお答えするシリーズをお届けしています。

以前「発達障害の診断は受けるべきですか?」の記事の中で、診断のメリットとして「社会参加の促進」があることを書きました。

記事を読んでくださった方から「診断を受けることと社会参加がつながるという考えが全くなかった、すごく興味深い」と言う感想をいただきました。

そこで今回は、診断を受けることで社会参加がしやすくなる理由について詳しく解説します。

具体的な例を交えて、診断と社会参加がどうつながるのかを見ていきましょう。

発達障害のあるお子さんを育てている親御さんは、日々様々な困難や不安と向き合っていることでしょう。

お子さんの成長とともに、子どもの進学、就職や結婚などのことについて心配が現実味を増してきていることでしょう。

また、自分が亡くなった後のことを考えると、さらに不安が増してしまうかもしれません。

そんな不安を和らげてくる方法の一つが「診断」です。

発達障害の診断を受けることで、お子さんが自分自身の特性を理解し、自己認識を深めることができます

自己理解が深まることで親から独立した後も、自分自身で必要な配慮や支援を求めることができ、社会活動に参加しやすくなります。

また今まで様々なできないことや周りの人たちとの違和感を、自分の努力不足や怠慢のためと思い、自己肯定感が低くなっていたかもしれません。

自分のせいではなく脳の特性だったということがわかることで、自己肯定感の回復につながります。

自己肯定感が上がることで、積極的に物事に取り組めるようになり、社会活動へも積極的に参加できるようになります

診断を受け自己理解をしていくという過程が、お子さんの自己肯定感を高め、自立した生活を送るための第一歩となるのです。

中学生の太郎君は、ASD(自閉症スペクトラム障害)と診断されました。

彼は学校の友達とのコミュニケーションがうまくいかず、いつも一人でいることが多いです。

診断後、太郎君は自分の特性を理解し、どのようにコミュニケーションを取るべきかを学びました。

友達 「太郎、明日ひま?」

太郎 「明日は7時に起きて、7時5分にトイレに行って、7時15分からご飯を食べて、7時40分から歯を磨くよ。8時から工場見学する番組があって、それは明日は車を作る工場で、その車はTYPE-Rっていうんだけど、エンジンが・・・」

友達 「あー、ストップ!そうじゃなくて、午後!」

太郎 「午後は12時から、12時間後の0時までだよ」

友達 「あー、もう会話になんねーわ、もういいや」

友達 「太郎、明日ひま?」

太郎 「時間を言ってくれないと、僕はなんて答えたらいいかわからないんだ 明日の何時?」

友達 「ああ、そうなんだ。えっと、2時」

太郎 「午前?午後?」

友達 「午後だろ、ふつう」

太郎 「ふつうと言われても、みんなが当たり前にわかってるつもりのことが、僕にはわかることができないんだ。だからちょっと面倒かもしれないけど、これでもかってくらい詳しく言ってほしいな。その方が会話が進めやすいし、君もイライラしなくて済むと思うよ」

友達 「ふーん、そうなんだ。じゃあ、明日の午後2時何か用事がある?」

太郎 「明日の午後2時は、家でテレビを見るよ」

友達 「○○っていう映画を見に行きたいんだけど、一緒に行かない?」

太郎 「それ見たいと思ってたんだ。テレビは録画するから、一緒に行くよ」

友達 「じゃあ、午後1時40分に学校の東門の前に集合しよう」

太郎 「わかった。忘れちゃうかもしれないから、メモしておくよ

診断前、診断後の会話例を読んで、どう感じましたか?

太郎君は、興味のあることにはとことん夢中になる、あいまいな表現の意味を推測することが難しい、耳で聞いたことを記憶しておくことが難しいという特性があります。

そのため、診断前は友達の会話の意図がわからずに、全く会話がかみ合わず、友達に愛想をつかされてしまいました。

診断後は自分の特性を知り、会話のスキルを身につけたため、「自分の特性+相手にしてほしいこと+それがお互いのためになる」と言うことを伝えることができました。

さらに、聞いたことを自らメモして忘れないようにするというスキルも使うことができています。

会話が成り立たず孤立しがちだった太郎君が、友達と映画にいく約束ができたのです。

これは、大きな社会参加への一歩です。

障害がありながら社会に参加していく時、できるだけその障害を低くできないか考えてみましょう。

ここでいう「障害」とは、その人が持っている「特性」ではありません。

もう一度、太郎君と友達の会話を見てみましょう。

診断前は、太郎君の特性を友達に理解してもらえなかったことで、「会話が成り立たない」という障害が発生してしまいました。

診断後、太郎君自ら自分の特性を友達に理解してもらい、会話を進めることができました。

このとき、太郎君の特性は何も変わっていませんが、「会話が成り立たない」という障害は軽減することができています

私は、発達障害の当事者がみな自ら障害を軽くしていけるようになればいいと思っています。

そのための一つの手段として「診断」があるのです。

お子さんが幼い場合、社会参加を促すキーパーソンとなるのは親御さんです。

親御さんが、お子さんの周りの障害を低くしていくのです。

そのためのスキルとマインドを身につけていけるのが、私の提供する「親子のためのペアトレコース」です。

興味のある方は、ぜひお試しカウンセリングにお申し込みください。

お子さんも親御さんも内なる力を発揮して、積極的に社会参加ができるようサポートいたします。

大人も子どももすべての人が自分を好きと思え、笑顔で子育てができるよう応援しています。

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